アンコール・ワットとその歴史

2015/08/26

アジア カンボジア シェムリアップ

t f B! P L

アンコール・ワット(Angkor Wat)

どんなに外国の事に疎い人でも一度は耳にしたことがあるだろう。
私もカンボジアという国にあると言われてもそれがどこにあるかも知らなかったし、当然形すら思い浮かばない状態だった。だけど、名前だけは知っていた。

実際に目の当たりにし、最初に抱いた感想はとにかくでかい。その一言だった。
遺跡の比較対象なんて先日のアユタヤだけなのだが、まったく異なる雰囲気をかもし出していた。

建物として機能しうる状態で現存し、広大な敷地内に多くの観光客を招いている点と、
大規模な修復が行われている点でだ。


一方で、同じ宗教施設という点において、両者は似ている。
同じように須弥山を模した仏塔があり、同じように回廊がある。
保存状態、修復度合が異なるだけ。規模が異なるだけ。

文字にすれば30文字もない違いが、ここまで大きな差を生む。
ただ差があるからと言って、どちらが良いとか悪いとかではない。

アユタヤを規模の小ささや荒廃しすぎているという点で好きでないという人もいる。
アンコールを現在の人の手が入りすぎて当時の保存ではなくレプリカとなりつつあるから好きでないという人もいる。


私はというと、宗教施設として見た場合はアンコールの方が好きである。
須弥山、八つの山、四つの島、すべてが残っている。
アユタヤだけではわからなかった回廊の様子などが、ここにきてようやくイメージできるようになった。

一方、宗教の知識が全くない当時の私が好きだったのは、圧倒的にアユタヤだった。
宗教施設ではなく、遺跡あるいは廃墟という括りでみていたからだ。

その括りにすると、アンコール・ワットは綺麗すぎるし残りすぎている。
そして一番のマイナスが、人の手が入りすぎている事。
そんなに現状を維持、回復させたいのであればポイペトあたりに、完全再現のレプリカを作ってしまえばいいのにと思うほどだった。


かつてはヒンドゥー教の寺院だったここも、長い年月の後仏教寺院へ変えられた。
坊さんが募金箱の横でスマホいじっていられるのも、今ここが仏教寺院であるからだ。

なぜヒンドゥー教から仏教の施設に変わったのか。
それは、一時期ここが忘れ去られていたからだ。
そして再発見された際、仏教の寺院として新たに蘇った。

だからだろうか、あまりヒンドゥー教の色を感じることはなかった。
と思ったがそれはヒンドゥー教の神様を知らないだけだ。

水路の前には必ず邪神ナーガの石像があったし、
寺院内の壁には、様々な何かが彫られていた。もしかしたらそれも、ヒンドゥー教の神様の一つなのかもしれない。


歴史と宗教は切っても切り離せない関係だ。
そして遺跡とはその歴史があってこその遺跡なので、言い換えてしまえば遺跡と宗教も大きな関係がある。

とはいえ、何も知らない状態でここに立っても、まぁまぁ楽しめる。
だけど背景を知っていれば、より一層楽しめるのも間違いない。
という事で以下に続く。

アンコール・ワットの歴史

12世紀初頭、クメール王朝(アンコール王朝)の17代目の王様がヒンドゥー教寺院として建設。

約300年後(15世紀頃)、プノンペンに遷都し、ここが放棄される。
遷都した理由は、王朝の政策により農業中心から交易中心になったため。そして川や湖がそばにあるプノンペンが選ばれた。

さらに約100年後(16世紀頃)遷都されてから10代目の王様が仏教寺院として改修。




遷都してからもここは、地元の人らにとって聖なる場所でありつづけた。
ただ周りの目には入りにくかっただけ。

現在よく言われているのは、1860年フランス人の学者によって「発見」されたという事。
だけど上記の通り、それまでアンコールワットが眠っていたわけではない。
なのでこの「発見」とは、世界にその存在を大きく広めた、という意味だ。

そして発見されて24年が経つと、カンボジアはフランスの植民地とされた。
というのも、カンボジアはタイ及びベトナムの侵攻を受けていた。
名目上彼らから保護する代わりに、フランス領土になれと当時の国王に提案。
1884年、カンボジア国王は実権を失いフランスの植民地となったのだ。

その後、寺院の修復作業にあたるものの、
1972年に内戦によって、また大仏らの首は跳ねられた。
アユタヤの時とは異なり、明確な破壊の意思が示された。
跳ねた首を砕き敷石にしたというのだ。

そんなこんなで内戦が収まりつつある1992年。
世界遺産として登録された。



歴史と紛争も切り離せない関係なのだろう。
だけどここはアユタヤほど紛争の跡が見られない。
きっとそれが、観光当時なにも知らなかった私の目に、魅力的に映らなかった理由だ。


About me

ブログ アーカイブ

Comments system

Popular

QooQ