ベンメリア(Beng Mealea)
ここベンメリア遺跡はアンコール・ワット周辺からかなり離れている場所になる。
入場用のチケットも別に必要だった。
最初に言うが、アンコール遺跡群の中で一番楽しかった遺跡だ。
2015年現在においても、まだ全貌が明らかになっておらず探索できる区域は限定されている。
探索の方法は二種類。
写真中央のような、木でできた足場をひたすら進むか、
歩行用に整備されているわけではない瓦礫の山を進んでいくか。
瓦礫の山は一人で行っても良いし、ガイドをつけても良い。
事前に調べた情報によると、この辺りは大量の地雷が埋まっていたという。
ここまで観光地化されているので、さすがに探索可能区域に埋まっているとは思えないが、もしもを考えガイドをつけた。
そのガイドに渡すチップの相場は、宿の人に聞いたのだが5ドルといっていた。
5ドルで安心が買えるのなら安いものだ。
さすがガイドだけあって、スイスイ進んでいく。
要所要所で頭だったり足元だったりを注意してねと言いながら。
だが想像よりはるかに歩きやすかった。
ビーチサンダルだと厳しいかもしれないが、かかとが固定されつま先が保護されているようなサンダルならば全く苦ではない。
木のツタがブランコのようになっている所が点在していた。
ブランコに座るように、そこへ腰かけても良いとガイドさんは言う。
座り心地は想像通り。
写真を撮ってくれるとのことだったので、お願いした。
こういう場所にくると毎回笑顔で「ラピュタ」と指さしながら日本語で言ってくれる。
ラピュタのような景色が広がるとして有名なベンメリアは、日本人客がそれ目的で大勢やってくるのだろう。
などと考えていたが、一人の日本人とも会うことはなかった。
「ラピュタ」以外は英語だったが、終始いろいろ教えてくれた。
例えばここはもと図書館だった。とか、水路の側には必ず蛇神ナーガの像があるというのも彼から教わって初めて知った。
崩れた遺跡の上を歩いたかと思えば、こうやってくぐることもできるし、まさに探検という感じがして気持ちが高揚する。
遺跡を侵食している木は、すでに撤去できないくらい大きくなっている。
今や木によって支えられているとさえ言っていた。
それがまたベンメリアの神秘性を高める。
自然に風化しただけならまだしも、内戦によっても破壊されているベンメリア。
そしてその跡が未だ修復されず残っている。
廃墟や廃村に感じるのと同種の、荒廃の中の美がここには溢れている。
東京のスカイツリーや、大阪のあべのハルカスなど、目新しいものは人が人の手によって作ることが出来る。
だけどこういったものは人だけでなく、およそ人の一生分じゃ間に合わないくらい長い時間を掛けないと作られない。
だから、それを台無しにしてしまう大がかりな修復作業には疑問を覚えるし、あまり好きではない。
ここは、人類とその歴史が築いた大切な世界遺産だ。
いつかがんじがらめにしている木によって、現存する全てが崩壊したとしても、それはそれできっと美しい。
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